秩父地方と秩父三社

寺社・祭りの多い秩父地方

埼玉県秩父地方は、寺社仏閣や祭りの非常に多い(年400を超えると言われる)地域として知られています。

西国三十三所、坂東三十三箇所と併せて日本百観音を形成する秩父札所巡り(秩父三十四箇所)は有名で、全国的にも有名な大祭・奇祭が目白押しです。

特に、秩父神社の秩父夜祭は、日本三大曳山祭・日本三大美祭の1つとされ、2日間で数十万人を集める大規模なものです。

そして、歴史的にも、ヤマトタケル、平将門の伝説が数多く残り、武田信玄には寺社を焼き尽くされる(信玄焼き)等非常に因果の多い地域です。

秩父地方に寺社が多い理由

なぜ、秩父は宗教的・歴史的縁の多い地域になったのでしょうか?

定説はなく、どれも十分に反論の余地がありますが、以下の理由が考えられます。

1.銅等鉱物資源が豊富であったため、古来より権力者との結びつきが強かった。
708年(和銅元年) 和同開珎の鋳造
武蔵国(現在の秩父市黒谷)から和銅(にきあかがね、純度が高く精錬を必要としない自然銅)が産出した事を記念して、「和銅」に改元するとともに、日本最古の貨幣とされる和同開珎が作られたとされる。

2.名馬の産地であったため、武家政権との結びつきが強かった。

3.荒川の源流に位置するため、水源が豊富であったとともに、情報・物流の要所となった。

4.名山に囲まれた地域であるため、修験道場のステージとして機能した。

5.大和政権の蝦夷攻略の拠点として地政学的な要地に位置した。

秩父三社めぐり概要

当記事は、秩父三十四箇所とともに、秩父の聖地巡りとして知られる秩父三社巡りの概要を説明したいと思います。

秩父三社とは、秩父地区の鎮座する関東地区有数の古社三社(三峯神社・宝登山神社・秩父神社)めぐりです。

秩父三社(宝登山神社〜秩父神社〜三峯神社 片道約50km  往復100km)
秩父三社
出典:http://www.navitime.co.jp/

三峯神社と宝登山神社は、ヤマトタケルの創建で、ニホンオオカミを神格化した大口真神(おおぐちまかみ)を祀っているという共通点があります。
一方、秩父神社は、北極星・北斗七星を神座とする妙見菩薩を祀る妙見信仰の社として有名です。

◆三峯神社

関東有数の古社。標高1102m。雲取山・白岩山・妙法ヶ岳の3つの峰からその名がついたと言われる。

ヤマトタケルが東征の際、イザナギ・イザナミの国造りを偲んで創建。イザナギ・イザナミを主祭神とし、造化三神と天照大神を配祀神とする豪華な祭神の布陣。
神仏習合時代は、修験道場として知られ、役小角がはじめて修業をし、空海が十一面観音像を安置したとされる。
狼信仰・三ツ鳥居・熊野修験との関わり等独特の信仰形態をもつ。
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出典:wikipedia

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出典:wikipedia

◆宝登山神社

宝登山山麓に鎮座。(奥社は山頂)
参拝者は、年間100万余を数える。
ヤマトタケルが東征の際、宝登山で山火事に合い、巨犬に助けられたという伝説から、火の神三神を祀り、巨犬を大口真神として祀る。
山名もこの逸話から「火止山」となり、転じてのちに「宝登山」となったという。
火災盗難よけ・諸難よけの守護神としての御神徳が高い。

神日本磐余彦尊 (かんやまといわれひこのみこと、神武天皇)
大山祗神 (おおやまづみのかみ)
火産霊神 (ほむすびのかみ)

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出典:wikipedia


宝登山神社 (トリップアドバイザー提供)

◆秩父神社

創建1900年を超える関東屈指の古社。
日本神話「岩戸隠れ」と「天孫降臨」で指導的な役割を果たした知恵物であるオモイカネを祭神とするため、学問に御神徳が高い。
その南東に聳える武甲山を遙拝する聖地であり、神仏分離以前は、北極星・北斗七星を神座とする妙見菩薩を祀る妙見信仰の社として栄える。
「秩父夜祭」は、毎年、20万人の人手があり、京都の祇園祭、飛騨高山祭と共に日本三大美祭のひとつに数えられる。
国の重要無形民俗文化財に指定。
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出典:wikipedia

日本三大美祭り 秩父夜祭イメージ
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出典:wikipedia

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