富士山信仰の歴史と種類のまとめ

世界の原始宗教の多くは、神の居場所もしくは神のそのものを自然物や自然現象に求めてきました(アニミズム)。山や岩や大木や森が、神の拠り所として考えられ、崇拝の対象とされてきたのです。

そのような世界が日本にもあったとしたならば、富士山が崇拝の対象となることはあまりにも必然ではないでしょうか。その美しい山容は、古代から今に至るまで、多くの人の心を動かし続けてきたのです。

そして、古代から現在に至るまで、崇拝の対象とされてきた富士山にまつわる信仰形態は、2013年「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」として世界遺産に登録されました。

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原始時代の富士山信仰はどのようなものだったのか?

日本では、太古の昔から富士山信仰が行われたといわれています。
千居遺跡(静岡県富士宮市)や牛石遺跡(山梨県都留市)など富士山周辺には、配石遺構(ストーンサークル)を伴う縄文時代後晩期の祭祀遺跡が複数発掘されています。これが、富士信仰であったという完全な合意を得ていませんが、縄文時代以前には富士信仰の原型があった可能性を示唆するには十分な証拠だといえるでしょう。

富士山信仰の種類について

富士山信仰の種類は無数にありますが、有名なものを列挙してみます。

1.浅間信仰(せんげんしんこう)

「富士の神霊」といわれる浅間大神を祀る富士信仰(浅間神社)。
静岡県および山梨県を中心として全国に約1300社の浅間神社が分布する。
総本宮は、富士山本宮浅間大社(静岡県富士宮市)
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2.村山修験(むらやましゅげん)

村山(現在の静岡県富士宮市村山)における富士山の修験道。 
修験道とは「山へ籠もって厳しい修行を行うことにより、悟りを得る」という日本古来の山岳信仰と仏教が合わさった日本独特の信仰。
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3.富士講

江戸時代に成立した民衆信仰。
「オガミ(拝み)」と「富士登山(富士詣)」「富士塚」から成る。
御師(おし)という角行を開祖とする信仰の指導者達が、富士詣を支援した。
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4.日蓮宗富士門流

直接的な富士信仰ではないとされているが、日蓮宗富士門流(日興門流)も富士山に拠点を置いている。
上条大石寺、北山本門寺、西山本門寺、小泉久遠寺、下条妙蓮寺を総称して富士五山と呼ばれる。
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その他、多くの宗教・宗派が、富士山に対して敬意をもった信仰形態をもっています。

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